神経系疾患分野|Pantothenate kinase-associated neurodegeneration (PKAN)(パントテン酸キナーゼ関連神経変性症)(平成23年度)
Pantothenate kinase-associated neurodegeneration(PKAN)
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1. 概要 | |
常染色体性劣性遺伝を示す、ジストニアを主体とする錐体外路症状と知的機能低下を主症状とする進行性の神経変性疾患である。神経系の鉄代謝異常が想定され、大脳基底核に鉄が沈着し神経変性が生じる。この鉄沈着がMRIでみられるPKANの特徴的所見であるeye of the tiger徴候の本態である。典型例の発症年齢は10歳未満で、全経過は10年程度である。過去には、初めの報告者をとってハラーフォルデン-シュパッツ(Hallervorden – Spatz)症候群とも呼ばれた。近年、PKAN、神経フェリチン症neuroferritinopathy、神経軸索ジストロフィーneuroaxonal dystrophy 、遺伝性無セルロプラスミン血症、幼児神経軸索ジストロフィー症は病態が類似することからNBIAと総称されるようになった。 | |
2. 疫学 | |
本邦では100人以下と推定される。海外の疫学調査も有用なものはない。 | |
3. 原因 | |
NBIA1(PKAN):パントテン酸キナーゼ2(Pantothenate kinase 2:PANK2)の遺伝子変異 | |
4. 症状 | |
錐体外路症状としてジストニア、コレア・アテトーシスを認める。病状が進行すると四肢の変形を来たし、錐体路徴候も明らかとなる。知的機能は退行を示し、最終的には全介助の状態となる。 MRIでeye of the tiger徴候(T2強調画像で鉄沈着による低信号の中に高信号の虎の眼球様状態)がみられ、NBIAを強く疑う根拠となる。 | |
5. 合併症 | |
進行期に網膜色素変性症、視神経萎縮、痙攣発作を合併する頻度が高い。 | |
6. 治療法 | |
特異的治療法はない。 | |
7. 研究班 | |
Pantothenate kinase-associated neurodegeneration(PKAN)の診断基準作成と実態調査に関する研究班 | |