奇形症候群分野|Retinoblastoma(網膜芽細胞腫)(平成23年度)
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1. 概要 | |
乳幼児に発症する悪性眼内腫瘍である。染色体13q14領域に存在するがん抑制遺伝子であるRB1遺伝子の異常により、胎生期網膜にみられる未分化な網膜芽細胞から発生する。 | |
2. 疫学 | |
国内で国内で年間80人程度の患者数。 | |
3. 原因 | |
染色体13q14に存在するインプリント遺伝子RB1の異常による。約10~30%は遺伝性で、残りは散発性 (非遺伝性)である。両眼性症例のほぼ全例及び片眼性の10~15%は遺伝性だと報告されている。遺伝性の場合は常染色体優性遺伝である。散発性のほとんどの場合は片眼性で、発症原因としては、RB1遺伝子の体細胞突然変異が考えられている。RB1遺伝子のプロモーター領域にあるCpG配列の高メチル化によりプロモーターが不活化されることが、特に片眼性散発性網膜芽細胞腫に関与していることが報告されている。生殖補助医療との関連性が強く示唆されている。 | |
4. 症状 | |
白色瞳孔で気づく場合が最も多い。その他、斜視、視力障害、角膜混濁、結膜充血と散瞳も典型的な症状である。進行すると、緑内障が続発し、さらに腫瘍が眼窩まで浸潤する場合もある。放置すると視神経や血管を介して脳、肝臓など全身に転移し、死に至る場合もある。 | |
5. 合併症 | |
RB1遺伝子の異常のため、網膜芽細胞腫患者では、他の悪性腫瘍を合併する頻度が高い。松果体腫瘍や骨肉腫 (Retinoblastoma-related osteosarcoma) が多くみられる。 | |
6. 治療法 | |
転移または眼球外浸潤の場合、可能な限り腫瘍を切除し、放射線照射と全身化学療法を実施する。眼球内にとどまり、そして視力を期待できる場合、温存治療を行う。眼球内にとどまるが、視力を期待できない場合、眼球を摘出する。ただし、両眼性であれば、できる限り軽症の方に温存治療を行う。 | |
7. 研究班 | |
先天性ゲノムインプリント異常症と生殖補助医療との関連に関する研究班 | |