神経系疾患分野|グルコーストランスポーター1欠損症症候群(平成23年度)
ぐるこーすとらんすぽーたー1けっそんしょうしょうこうぐん
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1. 概要 | |
GLUT1-DSは、脳のエネルギー代謝基質であるグルコースが中枢神経系に取り込まれないことにより生じる代謝性脳症で、慢性の脳低血糖状態が持続することによりてんかん発作や神経・精神的退行が進行していくものと考えられる。 | |
2. 疫学 | |
国内で少なくとも50人以上の確定診断例が存在すると考えられている。 | |
3. 原因 | |
常染色体優性の遺伝性疾患であり、90%にSLC2A1(GLUT1)遺伝子 (1p35-31.3)におけるヘテロ接合性の変異を認め、大多数はde novoである。 | |
4. 症状 | |
乳児期早期より発作性異常眼球運動、ミオクローヌスで発症し、その後、てんかん発作、発達遅滞、筋緊張低下、痙性麻痺、小脳失調、ジストニアなどの神経学的異常を呈する。症状は、空腹時、食前に悪化し、食後に改善する特徴がある。髄液糖低値(髄液糖/血糖<0.45)が特徴である。 | |
5. 合併症 | |
様々な程度の小頭症、てんかん、精神遅滞、小脳失調、不随意運動を合併すると考えられる。 | |
6. 治療法 | |
本症はケトン食療法により、神経細胞のエネルギー供給物質をグルコースからケトン体に代用させることができるため、永続的な改善が期待できる。ケトン食療法が第一選択となるが、カロリー制限、蛋白質摂取制限や水分制限のため長期継続が困難な例も存在する。 | |
7. 研究班 | |
グルコーストランスポーター1欠損症症候群の実態と診断治療指針に関する研究斑 | |