その他分野|リンパ管腫(平成23年度)
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1. 概要 | |
リンパ管腫は主に小児(多くは先天性)に発生する大小のリンパ嚢胞を主体とした腫瘤性病変であり、生物学的には良性とされる。全身どこにでも発生しうるが、特に頭頚部や縦隔、腋窩に好発する。多くの症例では硬化療法や外科的切除等による治療が可能であるが、重症例はしばしば治療困難であり、気道閉塞などの機能的な問題や美容的な問題を抱えている。血管病変を同時に有することもある。英語名はlymphangioma。血管と類似した脈管奇形の一種であるとの認識からlymphatic malformationと分類されることもある。全身に病変が多発するタイプや、リンパ管腫様組織を病変の一部に含む症候性疾患が複数知られており、これらをどのように診断し、分類・定義するかについては十分な根拠に基づく定説はない。 | |
2. 疫学 | |
推定10,000人 | |
3. 原因 | |
多くは先天性であり、胎生期のリンパ管の発生異常により生じた病変と考えられており、脈管奇形の一つとして理解することが試みられているが、現時点では証明されておらず、原因・発生機序は不明である。後天性の2次性発生と考えられるリンパ管腫も認められるが、病態発生機序については先天性リンパ管腫との関連は明らかでない。 | |
4. 症状 | |
多くは頭頚部、体幹、四肢の体表から認められる腫瘤を形成する。胸腔・腹腔内にあって外観上分かりにくい場合もある。通常は腫瘤があることで外観の問題を呈するにとどまるが、経過中に内部に感染や出血を起こすことがあり、発熱や疼痛、部位によっては気道圧排症状や急性腹症を呈し、気道確保、呼吸管理などを要する重症管理が必要となることもある。 | |
5. 合併症 | |
局所の急性感染、リンパ管腫内出血、気道閉塞、嚥下障害、発声障害、誤嚥性肺炎、腹痛、嘔吐、下痢、腫瘤による四肢・体幹の運動制限等 | |
6. 治療法 | |
外科的切除、硬化療法(ピシバニール、ブレオマイシン、高濃度アルコール、高濃度糖水、フィブリン糊等)、抗癌剤、インターフェロン療法、ステロイド療法、レーザー焼灼法 | |
7. 研究班 | |
日本におけるリンパ管腫患者(特に重症患者の長期経過)の実態調査及び治療指針の作成班 | |