外胚葉形成不全免疫不全症(平成21年度)
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1. 概要 | |
サイトカイン等の刺激伝達系であるNF-κBシグナルの低下により発症する疾患で、NEMO遺伝子やIκBα遺伝子が原因遺伝子と して同定されているが、その大部分はNEMO遺伝子異常である。症状として、外胚葉形成不全(歯牙欠損、発汗低下、毛髪が粗)や免疫不全症を発症し、特に ヘルペス属感染症や抗酸菌感染症に対して重症化、遷延化し、死亡する例も多い。また、炎症性腸疾患の合併頻度が高く、本邦では半分以上の患者が炎症性腸疾 患を発症しており、短腸症候群や吸収不良症候群により発達発育不全をきたし、完全静脈栄養の必要性からQOLは著しく低下する。一部のNEMO異常症では 破骨細胞の機能低下にともない大理石病を発症する。 | |
2. 疫学 | |
約20人。 | |
3. 原因の解明 | |
本疾患には、X連鎖型をとるNEMO遺伝子異常症と常染色体優性遺伝のIκBα遺伝子異常があるが、いずれの場合もNF-κBシグ ナル低下による細胞障害のために様々な病状を呈する。特に、外胚葉の形成不全や免疫不全症が特徴であり、また、腸管の形成異常のため腸管狭窄や短腸症候群 も見られる。炎症性腸疾患に関しては、ノックアウトマウスで炎症性腸炎が自然誘発されることが報告され、NF-κBシグナル低下に伴う腸管上皮細胞のアポ トーシス亢進、腸管バリアの機能破綻等が原因と考えられている。大理石病に関しては、破骨細胞が原因と考えられており、特に、遺伝子変異がNEMO遺伝子 のZinc Fingerドメイン部位に集中していることから、他の遺伝子との関連が示唆される。 | |
4. 主な症状 | |
(1) 外胚葉形成不全 歯牙の欠損、粗な毛髪、発汗不全 | |
5. 主な合併症 | |
(1) 外胚葉形成不全:歯牙の欠損、粗な毛髪、無汗症。 | |
6. 主な治療法 | |
感染症に対する予防投薬としてガンマグロブリン補充療法やST合剤投与があり、BCG接種により重篤なBCG感染をきたす場合があるため、早期発見によるBCG接種の回避が必要である。また、感染時には速やかに適切な抗菌剤の投与を行う。 | |
7. 研究班 | |
自然免疫異常による難治性腸炎に関する研究班 |