先天性尿素サイクル異常症(平成21年度)

せんてんせいにょうそさいくるいじょうしょう
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1. 概要

尿素合成経路の代謝系に先天的な異常があり、高アンモニア血症の症状などで発症する一群の疾患をさす。Nアセチルグルタミン酸合成 酵素欠損症、カルバミルリン酸合成酵素欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、古典型シトルリン血症、アルギニノコハク酸尿症、アルギニン血 症、高アンモニア高オルニチン高ホモシトルリン尿症候群、リジン尿性蛋白不耐症、シトリン異常症が含まれる。

2. 疫学

約400人

3. 原因の解明

それぞれの代謝の段階における遺伝的異常が原因である。

4. 主な症状

血液中のアンモニアの上昇は共通して見られ、高アンモニア血症による意識障害、痙攣、呼吸障害などは共通して認められる。その他に、酵素の以上によって特徴的な症状が出現する場合がある。

5. 主な合併症

高アンモニア血症の後遺症である精神運動発達の遅延は共通して認められる後遺症である。一部の疾患では肝障害が進行する。

6. 主な治療法

重症例では血液透析、ろ過透析などが必要である。慢性期では食事療法を行う。疾患によって薬物治療の方法には違いがあるが薬物治療 として安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウムの投与、シトルリン、アルギニンの投与が行われる。ただし我が国ではアルギニン以外の薬剤は承認されて いない。肝臓移植の適応疾患の一つであり、カルバミルリン酸合成酵素欠損症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、シトリン異常症では肝移植例があり 治療に成功している。

7. 研究班

小児希少難病(先天性アミノ酸代謝異常症等)の新規治療導入状況と実態の把握及び長期フォローアップ体制の確立班