サラセミア(平成21年度)

さらせみあ
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1. 概要

わが国におけるサラセミアの病型(重症型、中間型サラセミア等)の発症頻度、治療法の把握は遅れている。そこでアンケート調査を行 い、サラセミアの実態把握を行う。次に母児に無侵襲な手法を用い、サラセミアの胎児遺伝子診断を行うとともに、胎児が重症型の場合、胎児遺伝子治療への道 を開く。サラセミアはこれまで日本には稀な疾患とされてきたが、最近の調査研究で決して少なくない疾患であることが分かってきた(服部;山口大)。サラセ ミアの中でもホモ接合体は重症型であり、一生涯輸血を余儀なくされる。胎児のうちに重症型が診断されれば、子宮内胎児死亡を防ぐための胎児輸血や研究段階 であるが胎児遺伝子治療への道が開ける。

2. 疫学

サラセミアは地中海地方に頻発したため地中海貧血とも呼ばれる。これまで日本人には少ないとされていたが、九州大などの地域限定の新生児臍帯血スクリーニング調査報告ではサラセミアの発症頻度は0.1%ほどであり九州や西日本に多いとされている。

3. 原因の解明

原因はグロビンをコードする染色体の遺伝子決失、RNAの分離困難などであり、常染色体優性遺伝形式をもつ。

4. 主な症状

異常が生じたアミノ酸配列により重症度は様々である。

【症状】

1. 貧血、2. 黄疸、3. 脾腫、4. サラセミア様顔貌(頭部、顔面の骨の肥厚化)、5. 肝機能障害など

【検査所見】

1. 小球性貧血、2. 末梢血所見、3. 血清鉄、4. ビリルビン値、5. フェリチン値など

5. 主な合併症

貧血に伴い皮膚潰瘍、胆石、脾腫など

6. 主な治療法

βサラセミア・メジャーの場合輸血、免疫抑制剤、脾摘、骨髄移植などがある。正常な遺伝子を導入する遺伝子治療は現在研究中である。

7. 研究班

我が国におけるサラセミアの実態把握と無侵襲胎児遺伝子診断および治療基準作成の試みに関する研究班