Gorlin症候群(平成21年度)

Gorlinしょうこうぐん
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1. 概要

Gorlin症候群は、1960年Gorlinらによって報告された発達上の奇形と遺伝性高発癌性を併せ持つ常染色体優性遺伝疾患 である。発達上の奇形には手掌・足底皮膚小陥凹、肋骨椎骨異常、顎骨嚢胞、大脳鎌石灰化があり、発癌には基底細胞癌、髄芽腫の発生が有名である。多量の放 射線照射による基底細胞癌の発生がよく知られており、早期発見・早期治療が望ましいが、診療科が多岐にわたるため診断が遅れる傾向にある。

2. 疫学

100名(見込)

3. 原因の解明

Gorlin症候群の責任遺伝子はPTCH1であり、すでに100以上の遺伝子変異が報告されている。多くは挿入/欠失変異であ り、PTCH1のハプロ不全で発症するが、現在まで遺伝子型と表現型の関連は知られていない。PTCH1はがん抑制遺伝子に分類されており、加齢・放射線 等による組織のLoss of heterozygosity (LOH)により、基底細胞癌等の腫瘍が発生する。

4. 主な症状

出生時には大頭症、肋骨異常(二分肋骨、癒合肋骨)、2-3歳時には小脳髄芽腫、手掌足底小陥凹、5-6歳時には大脳鎌の石灰化、10歳時に顎骨嚢胞、側わん症、20歳時に基底細胞癌を発症する。

5. 主な合併症

髄芽腫の髄腔内播種予防に放射線照射を行うと照射域に一致して基底細胞腫が発生することがよく知られている。

6. 主な治療法

発達上の奇形に対しては根治療法はない。顎骨嚢胞は最近良性腫瘍(KCOT)に分類されたが、早期に嚢胞を摘出することが望ましい。年齢依存性に発生する基底細胞癌に対しては早期発見・早期治療が望ましく、転移前の摘出手術が必要である。

7. 研究班

Gorlin症候群の病態解明と治療法確立のための臨床的調査研究班