Landau-Kleffner症候群(平成21年度)

Landau-Kleffnerしょうこうぐん
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1. 概要

幼児期までの知的・言語発達は正常で、幼児期後半から学童前期に聞き返しが増え、難聴様になり、発語の異常を生じ、後天性失語症・ 聴覚失認・語聾の症状が出現する。約70%に臨床的てんかん発作を伴う。てんかんの有無によらずてんかん性脳波異常は高度で睡眠時に著しい。言語症状は抗 てんかん薬に抵抗性で、消長しつつ多くは数年間に徐々に改善するが,一部は高度の中枢性言語聴覚障害に起因する後遺症のため、日常生活に著しい困難があ る。

2. 疫学

全く不明。狭義症例は国内に100例未満か?調査が必要なレベル。

3. 原因の解明

てんかんとの関係が疑われているが、発作症状や脳波所見との相関がなく、脳の炎症や免疫反応に関わるとの推測もあった。いずれも根拠のある原因と考えられておらず、原因は全く不明であり、今後の検討が必要である。

4. 主な症状

知的発達・言語発達の正常な幼児期後半から学童期に緩徐進行性に発症し、音声への反応の低下、聞き返しの増加、ジャーゴン、発語の 減少・消失に至り相前後しててんかん発作を伴うものが多い。言語症状は時期によって感覚失語・全失語から非言語性/言語性聴覚失認、純粋語聾の形をとりう る。純音聴力はほぼ正常で変動がある。聴性脳幹反応は正常。うるさい環境や多人数の中での会話、電話でのやりとりがほとんど不可能。急性期には多動・多弁 (無意味語)、乱暴などの行動異常、疾病否認を伴うことも多い。

5. 主な合併症

てんかんの合併が約70%にみられる。発作型はさまざまで複雑部分発作の型を取ることが多いが、一定しない。失語症は全失語から感 覚失語から全失語に、次いで非言語性聴覚失認、言語性聴覚失認、純粋語聾の形をとりうる。聴覚障害は中枢性で純音聴力がほぼ正常であるのに言語音の聞き取 りがきわめて悪いため、周囲の理解が得られず、鬱病、心身症などメンタルヘルスの悪化を伴いがちである。

6. 主な治療法

抗てんかん剤が使用され、てんかん発作には有効であるが、脳波異常が高度であっても肝心の聴覚言語障害には無効な症例が多い。ステ ロイド療法が有効な症例は存在する。視覚経路による教育など難聴児に対する教育も取り入れられるが、末梢性聴力障害と違って、教育は容易ではないことが多 い。言語療法も取り入れられている。

7. 研究班

Landau-Kleffner症候群の実態把握のための奨励研究班