Von Hippel-Lindau(フォン・ヒッペル・リンドウ、VHL)病(平成21年度)
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1. 概要 | |
常染色体優性遺伝性疾患で国内に200家系程度と推定される。発症する主な腫瘍は脳脊髄の血管腫、網膜の血管腫、腎細胞癌、副腎褐 色細胞腫、膵臓腫瘍がある。どの腫瘍も多発し再発して一生期間発症する。脳脊髄の血管腫、網膜の血管腫、副腎褐色細胞腫は良性である。中枢神経腫瘍は四肢 の麻痺でQOLを低下させ、褐色細胞腫は高血圧発作などの症状を示す。腎癌と膵腫瘍は悪性で他臓器転移し死亡原因となる。 | |
2. 疫学 | |
600名~1,000名 | |
3. 原因の解明 | |
常染色体優性遺伝性疾患で原因遺伝子は染色体3番単腕25-26領域にあるVHL病癌抑制遺伝子である。多彩な遺伝子異常があり、 遺伝子異常と発症する病態の相関関係ははっきり解明されていない。一部の発症原因として遺伝子異常により遺伝子機能がなくなり血管新生因子を誘導する蛋白 (Hypoxia Inducible Factor)の過剰蓄積が腫瘍形成の原因とされる。それ以外の発症原因や発症過程では未だ確定的なものはない。 | |
4. 主な症状 | |
血管の豊富な腫瘍を発症し、主な腫瘍として脳や脊髄の血管腫、網膜の血管腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫、膵臓腫瘍、精巣上体腫瘍が ある。どの腫瘍も多発し再発して発症する。発症年齢は3-4才から50才代まで広範囲である。腎細胞癌と膵臓腫瘍は他臓器やリンパ節に転移し死亡原因とな る。 | |
5. 主な合併症 | |
患者さんの多くは頻回に腫瘍摘出手術をうけておりその結果で多くの身体的な障害を残している。例えば、網膜の腫瘍手術による失明、 脳脊髄手術による四肢麻痺、下肢麻痺、腎臓癌の手術後の腎機能不全、精巣上体腫瘍摘出後の不妊症などが挙げられる。Polysurgeryのため精神的に 生活の質の低下があるとされる。 | |
6. 主な治療法 | |
全ての腫瘍に対して腫瘍摘出か臓器摘出術を行って治療する。網膜の血管腫はレーザー焼灼術で治療する事もある。脳腫瘍に関してはガンマナイフを用いることもあるが、治療成績は不明である。 | |
7. 研究班 | |
フォン・ヒッペルリンドウ病の病態調査と診断治療系確立の研究班 |