眼科疾患分野|血管新生黄斑症(平成22年度)

けっかんしんせいおうはんしょう
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1. 概要

眼の黄斑部に新生血管をきたし、視力が低下してしまう疾患。50歳以上 におきる加齢黄斑変性と似ている。新生血管により視力をつかさどる黄斑部の構造が破壊されてしまうため、視力が不可逆的に低下してしまう。機能低下は黄斑 部に限ることが多いため、光覚を失うことはまれだが、視力は0.1を切り、社会的失明といわれる状態に陥る疾患。原因となる病態は下記に述べるように様々 である。

2. 疫学

それぞれの原因疾患の患者数は多くなく、正確な疫学は分かっていない。特発性や近視によるものは20代でも発症する。また、原因疾患が存在するものは最終的には両眼で発症する可能性がある。

3. 原因

不明。色素上皮の断裂が起きるような疾患(たとえば弾力繊維性仮性黄色腫)で高頻度に発生する。

病的近視でも同様な病態がおきるが、まったく正常の眼底にもおきることがあり、特発性血管新生黄斑症といわれる。これらの原因疾患がもとで起こる場合、若年者に起きることが多く、より問題となる。

4. 症状

ものがゆがんで見える(歪視)。急激な視力低下、等
典型的には中心の見たい部分が見えないと患者は訴える。

5. 合併症

症状は眼特異的である。ただし、原因疾患によるものは(たとえば弾力繊維性仮性黄色腫や近視)は存在する。

6. 治療法

近年まで有効な治療が存在しなかったが、現在では新生血管を押さえるた め、抗VEGF薬の硝子体注射や光線力学療法がおこなわれる。治療が長期にわたり、無効例も存在する問題がある。硝子体注射は合併症の危険があり、何度も 繰り返さなくてはならない場合がある。また、治療効果は視力上昇はあまり期待できず、視力の維持が当面の目標となる。我々はHLA*A拘束性のVEGFR ワクチンを試みている。

7. 研究班

血管新生黄斑症研究班