循環器系疾患分野|先天性QT延長症候群(平成22年度)

せんてんせいQTえんちょうしょうこうぐん
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1. 概要

心電図上、著しいQT間隔延長と失神発作を示し、血縁者に急死例がある 場合には先天性QT延長症候群が疑われ、最初の報告者の名前から、ジャーベル,ランゲ・ニールセン症候群(JLNS)とロマノ・ワード症候群 として知られていた。前者は、先天性聾を伴い、常染色体劣性遺伝で後者は優性遺伝を示す。

2. 疫学

Vincentらの報告では、5000人にひとりとされる。

3. 原因

1990年代に入って、分子遺伝学あるいは電気生理学的な方法論を駆使することにより、先天性LQTSの原因を突き止めようとする研究が盛んとなり、先天性LQTSの一部が心室筋の再分極過程を担うイオン・チャネルをコード する遺伝子の多種・多様な変異により発症することが解明された。2009年末までに少なくとも、12種類の原因遺伝子(LQT1-12)変異が同定されている。また、JLNSは2型に分類されており、今後さらに多くの遺伝子異常が見いだされる可能性がある。

4. 症状

失神発作を主体とするが、これはQT延長に伴う特殊な心室性不整脈が原因である。通常、10才以降に発症することが多い。

5. 合併症

特殊な心室性不整脈が持続すると心室細動となり、脳虚血が持続する場合、後遺症として高度脳機能障害を起こす。また、自然に呈しない場合、突然死を来す。その病像が似ているために、しばしば「てんかん」と間違われる。

6. 治療法

βブロッカー、カリウム製剤の投与、また、心室細動の既往例では植え込み型除細動器の適応となる。

7. 研究班

先天性QT延長症候群の遺伝的背景に基づく治療方針の検討班