代謝疾患、内分泌疾患|MODY(家族性若年糖尿病)(平成22年度)
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1. 概要 | |
メンデル遺伝様式(常染色体優性)で発症する若年糖尿病であり(通常 25歳以下の発症)、現在までに6種類の原因遺伝子が同定されています(MODY1-6)。MODYは非肥満のインスリン分泌不全を特徴とし、2型糖尿病 でみられるインスリン抵抗性は原則として認めません。耐糖能異常の重症度は型によって多様であり、糖尿病以外にも原因遺伝子が発現している種々の組織に関 連した多様な臨床像を呈します。 | |
2. 疫学 | |
MODYの頻度は、糖尿病全体の1-3%程度と推定されていますが、確かな調査報告は無く、日本人における頻度は不明です。6種類の病型の頻度は日本人MODY全体の約20%を占めると推定されていますが、大半の80%程度の原因遺伝子は依然として未知です。 | |
3. 原因 | |
インスリン合成や分泌に関連する遺伝子やその発現レベルを制御する転写因子遺伝子の構造異常によって発症します。疾患の遺伝様式は常染色体優性遺伝を示し、通常3世代以上に亘って疾患がみられる場合を判断基準としています。 | |
4. 症状 | |
若年発症を除くと、非肥満とインスリン分泌不全を特徴とし、日本人2型 糖尿病に類似した臨床症状を呈します。型によっては軽度の耐糖能異常や腎性糖尿のみを示す場合がある一方で、重症のインスリン分泌不全を呈して治療ではイ ンスリン依存となる場合もあります。特にMODY5では、糖尿病に加えて腎嚢胞、尿酸異常、生殖器異常を認めることが特徴的です。 | |
5. 合併症 | |
慢性高血糖による合併症は2型糖尿病と共通です。MODY3では肝臓での脂質代謝異常により心血管イベントリスクが増大することが示唆されています。MODY5ではネフロン形成不全により腎機能低下をきたし、腎不全に至る場合が少なくないとされています。 | |
6. 治療法 | |
遺伝子異常が原因であるために根治的な治療法はありません。糖尿病と血 管合併症については一般の糖尿病と同様の治療が行われます。MODY2では治療を必要としない場合が多く、MODY3では重症例が多くてインスリン治療を 必要とすることが多いですが、その一方で経口剤が著効を呈する場合があります。MODY5に特徴的な腎不全については正常DNAを有する腎移植が有効です ので、病態判定や治療法の考慮において遺伝子検査の実施が重要となります。 | |
7. 研究班 | |
MODY1-6に関する調査研究班 |