全身性アミロイドーシス(指定難病28)
1. アミロイドーシスとは |
アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常蛋白質が全身の様々な臓器に沈着し、機能障害をおこす病気の総称です。複数の臓器にアミロイドが沈着する全身性のもの(全身性アミロイドーシス)と、ある臓器に限局してアミロイドが沈着する限局性のもの(限局性アミロイドーシス)に分けられます。 |
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか |
それぞれの疾患によって異なります。AL/AHアミロイドーシス、ATTRvアミロイドーシスはそれぞれ国内に数百人、AAアミロイドーシスは数千人、Aβ2Mアミロイドーシスは1~2万人の患者さんがいると推測されています。ATTRwtアミロイドーシスは、現在診断されている患者さんは約3000名ですが、高齢者に非常に多い疾患であると考えられ、診断されていない患者さんが多数存在すると推測されます。また、脳アミロイドーシスの過半数を占めるアルツハイマー病は国内に約500万人存在するとされており、高齢化社会が進む中、今後もその数はさらに増加していくものと考えられています。 |
3. この病気はどのような人に多いのですか |
遺伝性のものと非遺伝性のものの2つに大別されますが、前者の代表的な疾患がATTRvアミロイドーシスです。トランスサイレチンという蛋白質の遺伝子変異を持つ人に生じます。その他、アルツハイマー病やプリオン病にも一部遺伝性のものがあります。一方、多発性骨髄腫を含む免疫グロブリンの異常に合併するALアミロイドーシス、関節リウマチなどの 炎症性疾患 に合併するAAアミロイドーシス、長期人工透析患者に合併するAβ2Mアミロイドーシス、加齢に伴い生じるATTRwtアミロイドーシスなどは非遺伝性のもので、これらの疾患を持つ人や高齢者に生じやすいものです。また、脳アミロイドーシスの代表であるアルツハイマー病も、加齢に伴いその頻度が増加する疾患です。 |
4. この病気の原因はわかっているのですか |
原因となる蛋白質が凝集してアミロイドとして臓器に沈着して発病することがわかっています。しかし、アミロイドが生じる過程は、原因蛋白質の種類によって異なると考えられており、その細かな 機序 については依然不明なままです。 |
5. この病気ではどのような症状がおきますか |
全身性アミロイドーシスでは、心臓の障害(心不全や不整脈)、腎臓の障害(ネフローゼ症候群や腎不全)、胃腸の障害、 末梢神経 や自律神経の障害(手足のしびれ、麻痺、立ちくらみ、排尿の異常、便秘、下痢)などがしばしばみられ、舌、甲状腺、肝臓が腫れることもあります。アルツハイマー病では認知症症状が、脳アミロイドアンギオパチーでは脳出血などの脳卒中の症状がみられます。 |
6. この病気にはどのような治療法がありますか |
従来は各々の症状に向けての対症療法が中心でしたが、近年、アミロイドーシスの種類によっては根治的治療法が発展してきたものもあります。FAPに対する肝臓移植やタファミジスの投与、ALアミロイドーシスに対する自己 末梢血 幹細胞移植を併用した大量化学療法あるいは新規化学療法薬、AAアミロイドーシスに対する最新の抗リウマチ薬、アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬などがその代表例です。 |
7. この病気はどういう経過をたどるのですか |
アミロイドーシスの種類によっても異なります。一部の限局性アミロイドーシスはあまり進行しませんが、多くのタイプ、特に全身性アミロイドーシスの多くは先に述べたような適切な治療を受けなければ、徐々に症状は進行していきます。進行が速い場合は、発病後数年で死に至ることもあります。 |
8. 患者さんに知って欲しいこと |
アミロイドーシスは早期発見、そして治療法の選択につながる種類分けが難しいことから、専門医の診療を必要とする病気です。なるべく早く専門医にご相談下さい。ご参考までに、厚生労働省難治性疾患政策研究事業・アミロイドーシスに関する調査研究班(研究代表者 関島良樹)に所属する研究分担者及び研究協力者で、アミロイドーシスの病型別の専門医のリストをお示しいたします(2023年10月現在)。 「アミロイドーシスに関する調査研究班」のアミロイドーシス病型別専門医リスト2023年10月 9. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(ATTRvアミロイドーシスの以前の病名です) |