円錐角膜(平成21年度)

えんすいかくまく
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1. 概要

円錐角膜は、思春期に発症する角膜の菲薄化、変形を主徴とする原因不明の疾患である。患者は進行性の視力障害をきたし、進行すると角膜移植以外に治療の方法がなくなる。

2. 疫学

欧米の報告では、10万人あたり50から230人。日本における患者数は、1980年代の報告では約1万人に1人。

3. 原因の解明

不明。ほとんどが孤発例で、遺伝的素因のあるものは約6%に留まる。アトピー性皮膚炎、ダウン症候群、エーラス・ダンロス症候群な ど、数多くの全身疾患に合併することが報告されている。眼局所では、慢性的な眼球の擦過やコンタクトレンズ装用との関連が指摘されている。また、角膜内に おけるmatrix metalloproteisaneやタンパク分解酵素の活性促進が報告されている。

4. 主な症状

進行性の近視、乱視。他覚的には、角膜実質の菲薄化、角膜曲率の急峻化を認める。

5. 主な合併症

進行例では、角膜実質の瘢痕形成が生じ、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正を困難にする。デスメ膜の断裂が生じることがあり、「角膜急性水腫」と呼ばれる急激な視力低下をきたす。
全身的な併発症としては、アトピー性皮膚炎、ダウン症候群、エーラス・ダンロス症候群、クルゾン病、マルファン症候群、ターナー症候群など。

6. 主な治療法

初期は眼鏡で矯正可能であるが、中等症以上ではハードコンタクトレンズ以外では良好な矯正視力が得られなくなる。更に進行すると、 角膜移植などの外科的手術が必要となる。近年、角膜内リング、角膜熱形成による角膜形状の矯正、およびコラーゲン・クロスリンキングによる角膜変形の抑制 を目的とした治療が欧米を中心に試みられている。

7. 研究班

円錐角膜の疫学と治療実態に関する研究班