褐色細胞腫(平成21年度)
かっしょくさいぼうしゅ
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1. 概要 | |
副腎髄質や傍神経節の腫瘍によるカテコールアミン過剰分泌の結果発症する病気。動悸、頭痛などの症状、高血圧、糖尿病をきたす。腫 瘍の摘出で治癒するが、約10-20%は骨、肝などに転移する悪性褐色細胞腫で進行性に増悪。治療法は未確立で予後不良。手術時の組織検査で良・悪性を診 断するのが困難で、1年から約30年後(平均5年)に局所再発、遠隔転移を生じ初めて悪性と判明する。悪性の早期鑑別診断法と有効な治療法の確立が必要な 難治性疾患。 | |
2. 疫学 | |
約1000人(悪性褐色細胞腫は100~200人) | |
3. 原因の解明 | |
副腎髄質あるいは傍神経節の腫瘍による。腫瘍の発症原因は不明。近年、コハク酸脱水素酵素の遺伝子異常を約30%に認めることが報告され、遺伝的因子の関与が示唆されているが、詳細は不明。 | |
4. 主な症状 | |
頭痛、動悸、発汗過多、顔面蒼白、振戦、悪心、便秘、体重減少、狭心症様の胸痛など多彩な症状を示すが、この病気に特異的ではない。 | |
5. 主な合併症 | |
発作性または持続性の高血圧、不整脈、耐糖能低下、糖尿病、高脂血症が多くの患者でみられる。運動や食事などが刺激となり急激に血圧が上昇する高血圧クリーゼや心筋梗塞様発作も認める。悪性褐色細胞腫では多発性の骨、肝、肺転移、心不全、腸閉塞、重篤な感染症を合併する。 | |
6. 主な治療法 | |
真の良性例では手術療法が著効する。悪性例は有効な治療法がない。欧米では131I-MIBG内照射が施行されるがわが国では保険適応はなく、有効性も確立されていない。抗がん剤の化学療法(CVD治療)が一部の患者に施行されるが、効果は限定的である。 | |
7. 研究班 | |
褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成研究班 |