肝型糖原病(平成21年度)

かんがたとうげんびょう
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1. 概要

糖原病は糖代謝の経路に関与する酵素の異常によって発症する疾患群。糖をエネルギーとして蓄積するためにグリコーゲンへと変換する 系、および蓄積したグリコーゲンを代謝する系に関わる酵素の先天的異常により糖代謝が障害され、組織にグリコーゲンが蓄積する。障害を受けた酵素の発現部 位により肝型・筋型・全身型に分類される。肝型糖原病にはⅠ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅷ(Ⅸ)型がある。

2. 疫学

約1200人

3. 原因の解明

それぞれの酵素活性の測定、遺伝子異常の検索で確定診断される。

4. 主な症状

Ⅰ型は、糖新生で最も重要な酵素の欠損であるため、低血糖・肝腫大・乳酸アシドーシスをきたす。低血糖は重篤で頻回のことも多い。人形様顔貌、成長障害、高脂血症、高尿酸血症を認める。Ⅰb型では好中球減少を伴う。Ⅲ型は進行性の(心)筋症がみられる。

5. 主な合併症

低血糖発作反復による発達遅滞、てんかん。Ⅰ型では肝腺腫など肝腫瘍、腎不全、出血傾向、骨粗鬆症、尿路結石。Ⅳ型は肝硬変、肝不全、脾腫。

6. 主な治療法

血糖値の維持が目標。食事療法(乳糖、ショ糖除去、果糖の制限)、特殊ミルク、コーンスターチの摂取、特に夜間頻回または持続補 給。好中球減少にはG-CSF定期投与。高尿酸血症に対しアロプリノール。急性期はグルコース静注による低血糖の改善、アシドーシスの補正。一部の症例で 肝移植が行われている。

7. 研究班

有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1,OTC欠損症)、肝型糖原病の新規治療法の確立と標準化班