新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)(平成21年度)
しんせいじしょくもつたんぱくゆうはついちょうえん(N-FPIES)
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1. 概要 | |
1995年頃より急激に患者数が増加しており、消化管破裂、播種性血管内凝固症候群、壊死性腸炎、消化管閉塞、成長発達遅滞などの 合併症を起こすことがあるため、注意が必要である。食物蛋白が原因となって、消化管炎症を起こす。牛由来ミルクが原因となることが最多であるが、母乳、大 豆、米などがこれに続く。合併症がなければ2歳までに原因食物を摂取できるようになることが多い。 | |
2. 疫学 | |
年間1,000名発生 | |
3. 原因 | |
なぜ発症するかについては、不明である。遺伝的な要素は少ない。食物蛋白に対する、細胞性免疫の発動が炎症の原因と考えられてい る。食物特異的IgEは検出されないことが多い。発症パターンから見て、過半数が母の胎内ですでに感作されていると考えられる。原因食品を少量しか摂取し なかった母からも患者は出ており、妊娠中の食物摂取制限は発症を予防しない。 | |
4. 症状 | |
嘔吐、下痢、血便などの胃腸症状が85%に見られる。しかし、哺乳力が弱くなるなどの非特徴的な症状のみの患者も15%に見られ、診断が困難を極める場合がある。 | |
5. 合併症 | |
診断が難しい場合、治療開始が遅れた場合、消化管破裂、播種性血管内凝固症候群、壊死性腸炎、消化管閉塞、成長発達遅滞を引き起こすことがある。 | |
6. 治療法 | |
原因食物を診断し、それを除去するとともに代替食品を摂取して、栄養障害を防ぐ。除去によっても炎症が長期に持続する場合には、抗炎症治療を行う。 | |
7. 研究班 | |
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究 |