性分化異常症(平成21年度)

せいぶんかいじょうしょう
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1. 概要

性の分化では、遺伝的性(genetic sex)により性腺の性(gonadal sex)が決定され、それに従って、外陰部の性(phenotypic sex)や脳の性(brain sex, gender identity)が分化する。そして社会的性は、通常出生時の外性器の性によって決定される。性分化異常症は、このプロセスのどこかに異常が生じる状態 である。一般的に出生時の外性器異常を伴い、これによって発見される。

2. 疫学

約4,500人に1人と推定されている(正確な数字は不明)

3. 原因の解明

外性器異常の観点から、遺伝的男性における性分化異常は、男性ホルモン効果が障害されたときに生じ、その原因は、(1) 胎児精巣形成障害、(2) 胎児精巣におけるテストステロン産生障害、(3) 外性器組織におけるテストステロン効果障害、(4) 外性器原器の形成障害に大別され、各々の範疇において多数の疾患が存在する。遺伝的女性における性分化異常は、男性ホルモン効果が過剰に出現したときに生 じ、その原因は、副腎疾患、胎盤疾患、性腺疾患に大別される。

4. 主な症状

遺伝的男児では、外性器低形成(女性型外性器、曖昧な外性器、尿道下裂など)、精巣形成・機能障害が中核的症状であり、これに一致するホルモンデータが得られる。遺伝的女児では、外性器男性化(陰核肥大、陰唇融合など)が中核的症状である。

5. 主な合併症

副腎疾患では副腎不全が認められる。また、POR異常症における骨系統疾患、Smith-Lemli-Opitz症候群における奇形徴候など、各原因疾患特有の合併症もいくつか知られている。

6. 主な治療法

内科的には、性ホルモン療法が行われ、外科的には外性器形成術(男児における尿道下裂修復術や女児における陰核短縮術など)が行われる。また、カウンセリングも重要な役割を担っている。

7. 研究班

核分化異常症の実態把握と治療指針作成班