声帯溝症(平成21年度)

せいたいこうしょう(じゃくねんせい)
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1. 概要

左右の声帯に溝が出来ることで声門閉鎖不全の病態が発生し、声を出すにも息漏れの状態(声門閉鎖不全:左右の声帯に隙間が出来る) となる。正常では、一息で15秒以上発声が出来るところが、数秒となる。そのため嗄声などの音声言語コミュニケーション障害のみならず、「息こらえ」が出 来ないため「力が入らない」、ムセるなどQOLの低下をもたらす。若年者においては外見上問題が無く、その個人の客観的評価において甚大なる負の評価とな り、社会生活上の大きな悩みとなる。

2. 疫学

30歳未満:500人

3. 原因

同様の病態が、加齢により70歳以上の男子に多く見られるため、声の濫用説などもあるが、近年の研究により、先天性の発生説、(の う胞の破裂変化、Werner’s病との関連)も示唆されているが、不明である。本研究は青壮年期(65歳未満)の若年性声帯溝症を大規模に行い、その患 者の症状、社会生活における問題点、診断に当たる医師の診断方法、治療法の選択と治療による変化を、患者・医療両面からの実態調査を行い、声帯溝症の診断 治療法選択の指針、ガイドラインを提案する。

4. 症状

左右の声帯に溝が出来ることで声門閉鎖不全の病態が発生し、声を出すにも息漏れの状態(声門閉鎖不全:左右の声帯に隙間が出来る) となる。正常では、一息で15秒以上発声が出来るところが、数秒となる。そのため嗄声など高度の発声障害、大きな声が出ない、話すのがつらい、など音声言 語コミュニケーション障害を来たす。また「息こらえ」が出来ないため「力が入らない」など運動能力の低下、過換気に伴う症状。ムセるなど嚥下障害を生じ、 社会や学校生活におけるQOLの低下をもたらす。

5. 合併症

コミュニケーション障害からくる、精神的ストレスによるあらゆる病態が起こる。さらに運動能力の低下と進行すれば誤嚥による肺炎等感染。
難 聴に対する補聴器、視力障害に対するメガネなど感覚器input器官(聴・視覚)ではあたり前に行われている対策がこれまでなされていない。若年者におい て学校社会生活でメガネや補聴器を装着した場合、社会からの理解と対策がなされるが、声帯溝症の場合「声嗄れ」や「力が無い」などの症状への理解は得られ にくく、外見が正常なぶんその個人の客観的評価において友人、上司からの負の評価となる。

6. 治療法

音声訓練: プッシング法など
声帯内注入術: ステロイド、自家脂肪、自家筋膜、自家コラーゲンなど注射器による注入。(症例により異物も行なわれる。)
喉頭形成手術: 一色の1型等外切開による声帯の位置移動術
声帯再生手術: 声帯内自家側頭筋筋膜移植(高度先進医療)や声帯垂直切開術

7. 研究班

声帯溝症の診断治療の確立と、標準化に向けたガイドラインの作成