先天性大脳白質形成不全症(平成21年度)
せんてんせいだいのうはくしつけいせいふぜんしょう
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1. 概要 | |
中枢神経系の髄鞘の形成不全により大脳白質が十分に構築されないことによっておこる症候群である。代表的なものはPelizaeus-Merzbacher病である。生直後からの眼振と発達遅滞、痙性四肢麻痺、小脳失調やジストニアなどの症状を呈する。 | |
2. 疫学 | |
不明(100人程度と推測) | |
3. 原因の解明 | |
ほとんどが遺伝性である。Pelizaeus-Merzbacher病はPLP1遺伝子の変異でおこる。それ以外に、 Pelizaeus-Merzbacher-like病の一部はGJA12の変異、PCWHはSOX10遺伝子、白内障を伴う先天性白質形成不全症では DRCTNNB1A遺伝子の異常でおこる。半数程度で原因遺伝子が見いだせない。 | |
4. 主な症状 | |
Pelizaeus-Merzbacher病では、生直後から遅くも1ヶ月程度までに眼振に気づかれる。著明な発達遅滞を主徴と し、生後から半年程度までは筋緊張低下、錐体路障害による痙性四肢麻痺。1歳過ぎに小脳症状としての企図振戦、2歳頃にはアテトーゼ様の異常肢位が発現し てくる。それ以外の疾患では、これらの症状以外に他の随伴症状を呈する。 | |
5. 主な合併症 | |
多くの症例が寝たきりの状態で全面介助が必要であり、これに伴う拘縮や褥瘡のほか、呼吸器感染症や嚥下性肺炎などを合併する。てんかんを合併する場合もある。 | |
6. 主な治療法 | |
痙攣・痙性に関して各種抗痙攣薬・筋弛緩薬が対症療法として用いられるが、現在のところ、根本的な治療法はない。 | |
7. 研究班 | |
先天性大脳白質形成不全症の診断と治療に向けた研究班 |