慢性活動性EBウイルス感染症(平成21年度)
まんせいかつどうせいEBうぃるすかんせんしょう
| |
1. 概要 | |
遷延あるいは再発する伝染性単核症様症状を示し、末梢血および病変組織に高レベルのEBV DNA が検出される疾患である。EBV感染TあるいはNK細胞がモノクローナルあるいはオリゴクローナルに増殖し高サイトカイン血症を呈する。 | |
2. 疫学 | |
年間数百名と推測される | |
3. 原因の解明 | |
通常はB細胞を標的とするEBVが、TあるいはNK細胞に感染し増殖を誘発することが病因となると考えられるが、これらの細胞への 感染機構(ウイルス受容体など)や増殖誘発機構などは不明である。また、東アジアや中南米への局在性から、何らかの遺伝学的背景をもつことが疑われるが、 明確な知見には乏しい。腫瘍性疾患の特性と免疫不全症の特性を併せ持つと考えられているが、病態の詳細も解明されていない。 | |
4. 主な症状 | |
発熱、リンパ節腫脹、肝脾腫、発疹、間質性肺炎、間質性腎炎、ぶどう膜炎、冠動脈瘤 | |
5. 主な合併症 | |
多臓器不全、血球貪食症候群、悪性リンパ腫、蚊刺過敏症、種痘様水疱症 | |
6. 主な治療法 | |
アシクロビル、ガンシクロビルなどの抗ウイルス薬、インターフェロン、インターロイキン-2、免疫グロブリン静注などの免疫賦活 療法、活性化T細胞やEBV特異的細胞傷害性T細胞などによる細胞治療、ステロイド、サイクロスポリンAなどによる免疫抑制療法、エトポシドなどに よる化学療法が試されてきたが、これらによる完治例はほとんどない。現在のところ造血幹細胞移植が唯一完治の可能性がある治療法である。 | |
7. 研究班 | |
慢性活動性EBウイルス感染症の実態解明と診断法確立に関する研究班 |