慢性好中球減少症(周期性好中球減少症、慢性本態性好中球減少症、自己免疫性好中球減少症など(平成21年度)

まんせいこうちゅうきゅうげんしょうしょう
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慢性好中球減少症(周期性好中球減少症、慢性本態性好中球減少症、自己免疫性好中球減少症など)

1. 概要

好中球の減少(< 1500/μl)を特徴とする原因不明の疾患群で、遺伝性のものと弧発性のものとがある。遺伝性のものの多くは小児期に発症する。通常、末梢血好中球数が 500/μl未満を重症例とする。重症度は感染リスクとほぼ相関し、重症例では重篤な感染症に罹患する可能性が高くなる。周期性好中球減少症では末梢血好 中球数が約21日周期で増減を繰り返す。

2. 疫学

約2,000人(推定)

3. 原因の解明

原因はほとんどの場合不明であるが、好中球の産生障害、成熟障害または破壊によって好中球減少が出現する。骨髄における好中球産生 は多くの場合低下または成熟停止であるが病型によっては亢進している場合もある。遺伝性・家族性の場合は原因遺伝子としてELA2、Gfi1などが一部の 症例で知られているが、多くは不明である。自己免疫性の場合は成熟好中球または骨髄前駆細胞を阻害する自己抗体もしくはTリンパ球が原因と考えられている が詳細は不明である。

4. 主な症状

主要症状はいずれのタイプでも好中球減少に伴う易感染性で、感染がなければたいてい無症状である。重症例ではしばしば重症感染症を 合併する。感染に伴い、発熱や感染臓器に応じた症状が出現する。細菌感染のみならず真菌感染を合併することもある。高度の好中球減少時には炎症反応に乏し く、一般の感染に認められるような自他覚所見をともなわないこともある。弧発例の軽症型ではほとんどの場合は易感染性はなく、健診などで偶然発見されるこ ともある。

5. 主な合併症

感染症を合併している場合、感染している臓器に応じた症状が出現する。例として、細菌性肺炎を合併した場合は呼吸困難や発熱が出現 し、髄膜炎などを合併した場合には意識障害・発熱などの症状が出現する。好発感染臓器は肺、泌尿器、腸管、皮膚などであるがあらゆる臓器に感染を起こしう る。

6. 主な治療法

軽症例では経過観察のみでよい場合もある。産生低下型ではG-CSF(顆粒球刺激因子)の投与を行う。免疫関連型ではステロイドや 免疫抑制剤が奏功することもある。骨髄不全が原因の場合には造血幹細胞移植を行うこともある。感染症に対しては原因菌の同定とともに速やかに抗生剤の投与 を行う。

7. 研究班

慢性好中球減少症研究班