毛細血管拡張性小脳失調症(平成21年度)
もうさいけっかんかくちょうせいしょうのうしっちょうしょう (Ataxia telangiectasia)
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1. 概要 | |
歩行開始時から明らかになる進行性小脳失調症、免疫不全症、高頻度の腫瘍発生、内分泌異常症、毛細血管拡張などを特徴とする、多臓器に渡る障害が進行性に認められる遺伝疾患である。 | |
2. 疫学 | |
100人~1000人 | |
3. 原因の解明 | |
1995年にATM(Ataxia telangiectasia mutated)遺伝子が、Ataxiatelangiectasiaの責任遺伝子として同定された。遺伝子は11q22.3に位置し、66のエクソンか らなり、全長150kBのgenomic DNAから成る。遺伝子産物であるATMはDNA損傷修復応答の鍵となる分子である。 | |
4. 主な症状 | |
歩行開始と共に明らかになる歩行失調(体幹失調)、小脳性構語障害・流涎、眼球運度の失行、眼振、眼球結膜・皮膚の毛細血管拡張 (6歳までに50%で明らかに。8歳時までにほぼ全例)、易感染性・免疫不全症状、高頻度の悪性腫瘍発生を認める。その他、発育不良や内分泌異常を認める ことがある。 | |
5. 主な合併症 | |
小脳失調からの誤嚥性肺炎、免疫不全による重篤な感染症、化学療法薬(抗がん剤)治療に際しての重篤な副作用などが問題となる。 | |
6. 主な治療法 | |
対症的治療(低γグロブリン血症に対するγグロブリン補充、感染時の抗菌薬投与、誤嚥防止など)。欧米では、DNA損傷の軽減を目的として、抗酸化薬のトライアルが行われている。 | |
7. 研究班 | |
毛細血管拡張性小脳失調症の実態調査、早期診断法確立と、病態評価に関する研究班 |