アイカルディ・ゴーティエ症候群(AGS)(平成21年度)
あいかるでぃ・ごーてぃえしょうこうぐん (Aicardi-Goutiáres syndrome; AGS)
| |
1. 概要 | |
遺伝的に複合的な常染色体劣性遺伝性の疾患である。家族性の幼児期に見られる脳症で、脳内石灰沈着と髄液細胞数上昇があり、偽先天 性トキソプラズマ脳症あるいは偽TORCH症候群とも呼ばれる。Cree脳症(vanishing white matter)も同一範疇である。 | |
2. 疫学 | |
世界で100例以上の患者の報告があるが、国内での患者数は不明。 | |
3. 原因の解明 | |
これまでに、原因遺伝子別に5つのサブグループ(AGS1-AGS5)に分類されている。AGS1はTREX1遺伝子 (3p21.3-p21.2)変異による。AGS2はRNASEH2B遺伝子(13q)、AGS3はRNASEH2C遺伝子(11q13.2)、AGS4 はRNASEH2A遺伝子(19p13.13)、AGS5はSAMHD1遺伝子(第20染色体)の変異によっておこる。同じ変異で優性遺伝となることもあ る。TREX1変異が最も重症型になる。 | |
4. 主な症状 | |
胎生期ウイルス感染様の表現形をとる。乳児期に重篤な神経症状を示し、進行性の小頭症、痙縮、ジストニア姿勢、高度の精神発達遅滞 がみられ、小児期早期に死亡する。画像では脳萎縮、白質ジストロフィー、頭蓋内石灰化(基底核その他)があり、検査では慢性的な髄液リンパ球増多、髄液中 のインターフェロンαとネオプテリンの増加がみられる。感染指標には異常がない。 | |
5. 主な合併症 | |
神経系外の合併症としては血小板減少症、肝脾腫、肝酵素上昇、間歇的発熱がみられ、感染症を思わせる。免疫不全を生じることもあり、皮疹を生じSLE様となることもある。補体が減少しIgGとIgMは上昇する。非神経症状として凍瘡が4割の患者に認められている。 | |
6. 主な治療法 | |
対症療法にとどまる。 | |
7. 研究班 | |
ビオプテリン代謝異常を伴う難病の実態および病態把握のための横断的研究班 |