エーラスダンロス症候群(平成21年度)
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1. 概要 | |
皮膚、関節、血管など結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患である。その原因と症状から、6病型(古典型、関節可動性亢進型、血管 型、後側彎型、多関節弛緩型、皮膚脆弱型)に分類されており、全病型を合わせた推定頻度は約1/5,000人とされている。なお、最近我々が見出した「新 型」を含め、6病型に分類されない新たな病型の発見が相次いでいる。 | |
2. 疫学 | |
全病型合わせて2万人程度、血管型は400~2,000人、新型は数人。 | |
3. 原因の解明 | |
コラーゲン分子またはコラーゲン成熟過程に関与する酵素の遺伝子変異に基づく。 | |
4. 主な症状 | |
古典型においては、皮膚の脆弱性(容易に裂ける、萎縮性瘢痕)、関節の脆弱性(柔軟、脱臼しやすい)、血管の脆弱性(内出血しやす い)。関節可動性亢進型においては、関節の脆弱性が中心(脱臼・亜脱臼、慢性疼痛)である。血管型においては、小関節の弛緩、特徴的顔貌、皮下静脈の透見 などの症状がある。「新型」では、皮膚、関節、血管あらゆる臓器の脆弱性を伴う、幼少期には特徴的顔貌を呈する。 | |
5. 主な合併症 | |
古典型においては、心臓弁の逸脱・逆流、上行大動脈拡張を呈する例がある。関節可動性亢進型においては、若年発症変形性関節症を呈 する。血管型においては、動脈解離・瘤・破裂、腸管破裂、子宮破裂といった重篤な合併症を生じる。「新型」においては、心臓弁の逸脱・逆流、難治性便秘、 膀胱拡張、骨そしょう症などが合併する。 | |
6. 主な治療法 | |
古典型における皮膚、関節のトラブルに対しては、激しい運動を控えることやサポーターを装着するなどの予防が有用である。皮膚裂傷 に対しては、慎重な縫合を要する。関節可動性亢進型においては、関節を保護するリハビリテーションや補装具の使用、また疼痛緩和のための鎮痛薬の投与を行 う。血管型においては、定期的な動脈病変のスクリーニングおよびトラブル発症時の慎重な評価と治療(できる限り保存的に、進行性の場合には血管内治療を考 慮)、腸管破裂の発症時には、迅速な手術が必要である。「新型」においては、定期的な骨格系(側彎、脱臼) | |
7. 研究班 | |
エーラスダンロス症候群(主に血管型および新型)の実態把握および診療指針の確立班 |