チトクロームP450オキシドレダクターゼ異常症(平成21年度)

ちとくろーむP450おきしどれだくたーぜいじょうしょう
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1. 概要

チトクロームP450オキシドレダクターゼ(POR)異常症は、2004年に疾患概念が確立された新規遺伝疾患であり、先天性副腎 酵素欠損症のひとつとして位置づけられる。本症患者においては、POR依存性酵素であるCYP51A1、CYP17A1、CYP21A2、 CYP19A1、SQLEなどの活性低下に起因すると推測される多彩な臨床症状が認められる。

2. 疫学

これまで世界で約70例が報告されている(正確な患者数は不明)

3. 原因

POR遺伝子の機能喪失変異に起因する常染色体性劣性遺伝疾患である。POR遺伝子異常として、ミスセンス変異、ナンセンス変異、 フレームシフト変異およびスプライシング異常をきたすイントロン内変異、遺伝子内欠失、アミノ酸挿入などが同定されている。本邦においては、残存活性の低 い人種特異的創始者変異(R457H)が約70%を占める。

4. 症状

(1) 骨奇形: 頭蓋骨早期癒合,多発性関節拘縮、上気道狭窄、くも状指など、Antley-Bixler症候群に一致する骨形成異常を認める

(2) 副腎ステロイド合成障害: グルココルチコイド欠乏およびステロイド中間代謝産物の蓄積が認められる。副腎不全はしばしば重篤となり、感染症罹患時の突然死の報告がある。

(3) 生殖器病変: 男性患者では、外陰部形成異常と二次性徴出現不全を認める。女性患者では、外陰部男性化と思春期年齢の男性化進行を伴わない二次性徴出現不全を認める。

5. 合併症

男女共に、思春期相当年齢における骨年齢遅延と過成長を認める。また、患児妊娠中の母体では、しばしば胎盤アンドロゲン過剰産生を反映する男性化徴候が認められる。さらに、本症患者の一部では、鎖肛、膀胱尿管逆流、腎形成異常などの消化器・泌尿器奇形が認められる。

6. 治療法

外性器異常、骨形成異常、消化器・泌尿器奇形に対しては、対症療法として外科的治療が行なわれ、副腎・性腺機能不全に対しては、それぞれ副腎ステロイド補充と性ホルモン補充が行なわれている。

7. 研究班

チトクロームP450オキシドレダクターゼ異常症調査研究班、副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班