メチルマロン酸血症(平成21年度)

めちるまろんさんけつしょう
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1. 概要

先天性有機酸代謝異常症の一つで、体内にメチルマロン酸を中心とする有機酸が蓄積し、ケトーシス、アシドーシスを生ずる遺伝性疾患。

2. 疫学

約150人

3. 原因の解明

メチルマロニルCoAからサクシニルCoAへの代謝を触媒する酵素であるメチルマロニルCoAムターゼの欠損またはその補酵素であ るビタミンB12(コバラミン)の代謝異常により起こる。ムターゼ欠損が50%をしめる。コバラミン代謝異常はさらにCblA~D、Fの五型に分類され る。cblF以外は原因遺伝子が同定され、遺伝子検査による確定診断が可能であるが、どの遺伝子異常も同定されない病型も存在する。

4. 主な症状

急性期(アシドーシス発作時)は頻回の嘔吐と脱水、呼吸窮迫、意識障害をきたす。慢性的には嘔吐と食欲不振、成長障害、発達遅滞、肝腫大、易感染性、骨粗鬆症を認める。症状は病型によって差異がある。

5. 主な合併症

メチルマロン酸は腎臓、脳内等、肝以外の組織でも産生されるため、慢性的に腎機能低下・進行性腎不全を合併する。精神遅滞、錐体外路症状、骨粗鬆症を合併する。食事療法により脂肪肝になりやすい。

6. 主な治療法

食事療法(蛋白制限、Ile, Val, Met, Thr制限)、L-カルニチン、メトロニダゾール内服。病型によりビタミンB12投与。急性期はグルコース大量静注による異化亢進状態の阻止、アシドーシ スの補正、タンパク摂取の中止、有害代謝物の血液浄化療法による除去、カルニチン投与。一部の症例で肝移植が行われている。

7. 研究班

有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症・プロピオン酸血症)、尿素サイクル異常症(CPS1, OTC欠損症)、肝型糖原病の新規治療法の確立と標準化班