Mowat-Wilson症候群(平成21年度)
Mowat-Wilsonしょうこうぐん
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1. 概要 | |
胎生期のさまざまな器官形成に関与するZFHX1B遺伝子の片側のアリルの機能不全で発症し、精神運動発達遅滞、特徴的な頭頚部の所見と小頭症を主徴とする症候群。 | |
2. 疫学 | |
正確な数は不明だが、ヒルシュスプルング病患児の数%と考えられる。 | |
3. 原因の解明 | |
胎生期の神経板および神経堤細胞の形成に関与するZFHX1B(ZEB2)遺伝子の片側のアリルの機能不全により中枢神経系、腸管 神経節細胞、頭部と体節の形成異常が起こり発症する。ほとんどの症例にZFHX1B遺伝子のナンセンス、フレームシフト変異あるいは欠失が見られる。 | |
4. 主な症状 | |
(1) 精神運動発達遅滞 | |
喃語「あ~あ」は見られるが、単語は話せない。 | |
(2) 特徴的な頭部顔面所見 | |
眼間開離、細くて目立つ顎、深くて目立つ眼、目立つ鼻尖、折れ曲がった耳朶、後方に回転した耳介、離れた薄い眉毛など。 | |
(3) 小頭症 | |
頭囲は-2SD以下である。 | |
5. 主な合併症 | |
てんかんを約7割に認める。発作型は多様。脳梁欠損や低形成も見られる。感覚器では、斜視、眼振、反復性中耳炎を合併する。約半数 に先天性心疾患(肺動脈狭窄、動脈管開存症、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症)が見られる。腎泌尿器奇形(尿道下裂、陰茎彎曲、二分陰 嚢、停留精巣、水腎症、膀胱尿管逆流)を約半数に認める。消化器系では、約半数にヒルシュスプルング病が見られ、難治性便秘の合併も多い。 | |
6. 主な治療法 | |
ヒルシュスプルング病合併例は新生児期から乳児期に根治手術を行う。てんかん合併例は抗てんかん薬で治療。熱性痙攣の合併も多く、痙攣重積例も少なくない。精神運動発達遅滞に対して適切な時期から療育を行い、必要に応じて装具を作成する。 | |
7. 研究班 | |
Mowat-Wilson症候群の臨床診断基準の確立と疾患発症頻度の調査班 |