Wolfram(ウォルフラム)症候群(平成21年度)
| |
1. 概要 | |
通常、若年発症の糖尿病が初発症状となり、次いで視神経萎縮により視力障害を来す。この2つの特徴的な症候の合併により診断される。常染色体劣性遺伝性疾患。糖尿病と視神経萎縮に加えて、尿崩症、難聴、尿路異常、多彩な神経・精神症状などを合併する。 | |
2. 疫学 | |
不明(英国では77万人に1人) | |
3. 原因の解明 | |
原因遺伝子WFS1が1998年に同定され、遺伝子診断が可能になった。この遺伝子にコードされる蛋白、WFS1蛋白 (woflramin)は細胞内では主に小胞体に存在し、この蛋白を欠損する細胞は小胞体ストレスに脆弱であることが示されている。しかしながら、この蛋 白の機能や、症候の発症メカニズムについては依然不明な点が多い。 | |
4. 主な症状 | |
典型例では10歳前後に発症するインスリン依存性の糖尿病が初発症状となる。やや遅れて視神経萎縮による視力障害が発症し、失明に至りうる。この2つの徴候の合併を持ってWolfram症候群の診断がなされている。 | |
5. 主な合併症 | |
主な症状の欄に記したように多彩な症候を合併する。 | |
6. 主な治療法 | |
根本的な治療はない。糖尿病に対してはインスリン療法、尿崩症に対してはデスモプレッシンの投与が行われる。 | |
7. 研究班 | |
Wolfram症候群の実態把握および診断法確立のための調査研究班 |