整形外科疾患分野|遺伝性多発性外骨腫症(平成22年度)

いでんせいたはつせいがいこつしゅしょう
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1. 概要

遺伝性多発性外骨腫症は常染色体優性遺伝で、大腿骨などの長管骨の骨幹 端部に発生する骨腫瘍を特徴とする。骨腫瘍以外にも、低身長、前腕や下腿の彎曲(わんきょく)変形、早期の変形性関節症など臨床症状は多彩で、腫瘍が神経 を圧迫することによる手足のしびれを引き起こすことがある。

2. 疫学

欧米で行われた研究では人口5万人に1人の割合で患者さんがいると言われているが、日本での詳細は不明である。

3. 原因

本疾患はヘパラン硫酸合成酵素遺伝子であるEXT1、あるいはEXT2 の遺伝子変異によって起こることが知られている。日本での研究では、これらの遺伝子の変異は70%程度の患者さんにしか発見されず、約30%の患者さんは 遺伝子変異が不明のままである。また、これらの遺伝子の異常が、なぜ骨腫瘍の発生に関与するのかも不明のままである。

4. 症状

本疾患は、大腿骨などの長管骨の骨幹端に多発する骨腫瘍を主症状であ る。また、低身長、脊椎側弯症(せきついそくわんしょう)、上肢や下肢の彎曲変形、早期の変形性関節症など多彩な臨床症状を呈する。また、腫瘍が末梢神経 を圧迫し、手足のしびれや麻痺症状を呈することがある。

5. 合併症

腫瘍の約1%程度が悪性化し、軟骨肉腫を発生すると言われている。特に骨盤などの扁平骨に発生する腫瘍が悪性化すると発見が遅れることがあるので注意を要する。

6. 治療法

現在までに有効性が示された治療薬は無く、手術的治療が唯一の治療法である。

7. 研究班

遺伝性多発性外骨腫の実態把握と遺伝子多型に関する基盤研究班