循環器系疾患分野|遺伝性不整脈(平成22年度)
いでんせいふせいみゃく
| |
1. 概要 | |
心室頻拍症や徐脈などさまざまな不整脈が同一家系内に集積してみられる疾患で、先天性QT延長症候群がその代表である。失神発作や突然死をきたす可能性があり、特に胎児・新生児期に発症するタイプは難治性で重症な経過をたどり、乳児突然死症候群との関連も指摘されている。 | |
2. 疫学 | |
約2,500に一人で、その10%が新生児期に発症する。 | |
3. 原因 | |
心筋のイオンチャネル(Kチャネル、Naチャネル、Caチャネル)の遺伝子異常による。 | |
4. 症状 | |
発作のないときは無症状で、心電図検診で偶然発見されることも多い。発作時はめまい、動悸、失神、けいれんなどの症状を呈し、重症な場合は突然死をきたす。早期発症例では子宮内胎児死亡、乳児突然死症候群をきたすことがある。 | |
5. 合併症 | |
倒錯型心室頻拍(torsade de pointes)と呼ばれる特徴的な心室性不整脈や高度房室ブロックによる徐脈を合併して、意識消失発作、突然死、心不全をきたすことがある。 | |
6. 治療法 | |
β遮断薬やその他の抗不整脈薬が有効であるが、難治性の場合は乳児期からペースメーカ植込み術や植込み式除細動器が必要となることもある。 | |
7. 研究班 | |
胎児・新生児期の遺伝性不整脈に関する調査研究班 |