血が固まる(凝固)のに必要なタンパク質の一つである凝固ⅩⅢ(13) 因子が、生まれつきではない(遺伝ではない)理由で著しく少なくなるため、血を止める(止血)のための血の固まり(血栓)が弱くなって簡単に壊れやすくな り、自然にあるいは軽い打撲などによって重い出血をする病気。

不明（約100人／年　以上と推測）。

自分の凝固13因子に結び付く抗体(自己抗体)が作られて13因子が働かなくなること(インヒビター)や、外傷・事故・手術などによる大出血のために大量に13因子が失われることが、出血の原因となる場合が多いと推測される。

血の固まる速さを調べる一般的な検査(PT、aPTTなどの凝固時間)の値は異常ではないし、血を固める小さな血球(血小板)の数も減っていないのにも拘らず、突然出血する。筋肉・皮膚の出血が多いが、身体のどの部位にでも出血する可能性がある。

出血する部位によって様々な症状が合わさって起こる(合併症)可能性がある。特に脳を含む頭蓋内の出血では脳神経系に、心臓や肺がある胸腔内の出血では循環系に重い障害を起こし、致命的となる場合もある。

出血を止めるために濃縮13因子製剤を注射することが必要であるが、 「３．原因」に書いた自己抗体によるインヒビターの例では、注射した13因子活性が効かなくなるため、出血を止めることは難しい。さらに、免疫を弱める薬 (免疫抑制剤)を注射して自己抗体を作らせないようにする必要がある。抗体の値が高くならないようにするためには、13因子の注射を最小限にとどめ、代わ りに血栓が溶けにくくなる薬(抗線溶薬)を使用することが止血に有効であると予想される。

後天性血友病ⅩⅢ(13)の実態調査、発症機序の解明と治療方法の開発研究班