内分泌疾患分野|高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性低マグネシウム血症(平成22年度)

こうかるしうむにょうしょうとじんせっかいかをともなうかぞくせいていまぐねしうむけっしょう
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1. 概要

尿細管におけるマグネシウムおよびカルシウムの再吸収障害による先天性 尿細管機能異常症であり、尿路結石、腎石灰化から進行性の腎機能障害を呈し、末期腎不全に至る難病である。類縁疾患である Batter, Gittleman症候群よりも一般に予後が悪く、10歳から26歳までに末期腎不全に至る。血中マグネシウム低値が特徴であるが、診断が遅れて、腎石灰 化で気づかれることが多い。

2. 疫学

不明   日本、韓国、アラブ諸国、ヨーロッパ諸国の報告が多い。
日本での患者実態数は不明である。

3. 原因

Henle上行脚にかかる腎尿細管の tight junction部位のチャンネル蛋白paracellin 1 (Claudin: CLDN-16)の異常が原因であるとされる。同様に尿細管異常と眼症状を伴うCLDN-19の異常症も関与しているとされる。ここ最近、CLDN- 16, CLDN-19の相互作用が報告されたが、詳細なメカニズムはまだ不明である。

4. 症状

乳児期から低マグネシウム血症、高カルシウム尿症、多尿、腎石灰化、尿路結石、血漿PTH高値を認める。高度な腎石灰化から腎機能低下が進行し、若年で末期腎不全となり、透析、腎移植が必要となる。

5. 合併症

電解質異常によるけいれん、テタニー、尿路感染症および不全型尿細管性アシドーシスをしばしば合併する。

6. 治療法

低マグネシウム血症、高カルシウム尿症の是正に対して、塩化マグネシウムとヒドロクロロチアチドが投与される。腎石灰化予防のためにクエン酸ナトリウムも投与される。末期腎不全への進行をできるだけ遅らせる対症療法が中心である。

7. 研究班

高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性低マグネシウム血症(FHHNC)研究班