その他(腎泌尿器系疾患)分野|小児慢性腎臓病(平成22年度)
しょうにまんせいじんぞうびょう
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1. 概要 | |
尿たんぱく陽性などの腎疾患の存在を示す所見、もしくは腎機能低下が3カ月以上続く状態で、糸球体ろ過量によりステージ1からステージ5まで病期分類されている。ステージが進行して末期腎不全に至ると、血液透析、腹膜透析や腎移植といった腎代替療法が必要となる。 | |
2. 疫学 | |
約1500人。 | |
3. 原因 | |
小児の慢性腎臓病の原疾患は、先天性腎尿路疾患と糸球体疾患が多く、先 天性腎疾患では低異形成腎、若年性ネフロンろう、逆流性腎症など、糸球体疾患では巣状分節性糸球体硬化症が中心である。先天性腎尿路疾患の一部や巣状分節 性糸球体硬化症の一部は原因遺伝子が判明しているが、多くは原因が不明である。 | |
4. 症状 | |
一般に自覚症状に乏しく、尿検査や血液検査などでたんぱく尿あるいは腎機能低下を認めることにより診断される。 | |
5. 合併症 | |
腎機能の低下に伴い、高血圧、浮腫、心不全、貧血、高カリウム血症、カルシウム・リン代謝異常、成長障害が出現する。 | |
6. 治療法 | |
末期腎不全への進行阻止を目的とした治療方法は小児では未確立であるが、臨床現場ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、球形吸着炭などが使用されている。 | |
7. 研究班 | |
本邦小児の新たな診断基準による小児慢性腎臓病の実態把握のための調査研究班 |