奇形症候群分野|新生児一過性糖尿病(平成22年度)
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1. 概要 | |
新生児一過性糖尿病は、生直後1ヶ月に現れるインスリン治療を必要とする高血糖症と定義される。その半数は、およそ3ヶ月で自然治癒するが、残り半数はインスリン依存性糖尿病となる。また、新生児一過性糖尿病は、ほとんど全例は成人に達し、Ⅱ型の糖尿病を発症する。 | |
2. 疫学 | |
国内で500~1000人程度の患者数。 | |
3. 原因 | |
TNDMには、染色体6p22.1の上のZFP57遺伝子変異が引き起 こす6q24での低メチル化と伴うTNDM1、染色体11p15.1の上のABCC8遺伝子変異が引き起こすTNDM2と同じく染色体11p15.1の上 のKCNJ11遺伝子が引き起こすTNDM3がある。染色体6q24領域の父性ダイソミー UPD, 父性重複paternal duplication, インプリント調節領域(6q24)のメチル化異常methylation defect(20%)が報告されている。 | |
4. 症状 | |
主な症状は子宮内発育遅延、生後6週間の成長不足、高血糖と脱水であ る。その他出生時低体重、巨舌、両眼隔離症等がみられる。高血糖による症状としては、巨大児(あるいは低出生体重児)、新生児仮死、分娩障害、呼吸窮迫症 候群、新生児低血糖症、多血症、過粘度症候群、低カルシウム症、高ビリルビン血症、肥厚性心筋症等がみられる。 | |
5. 合併症 | |
糖尿病による急性感染症(肺炎、膀胱炎、腎盂炎、胆のう炎)、糖尿病性 昏睡、低血糖昏睡(意識障害)等がみられる。慢性合併症としては糖尿病性網膜症糖尿病(失明)、糖尿病性腎症(腎不全に陥り透析治療が必要になる)、糖尿 病性神経障害がある。 他に、白内障、緑内障、脂肪肝、動脈硬化等がみられる。 | |
6. 治療法 | |
主な治療法としてブドウ糖-インスリン療法が行われる。根本的な治療法はないため、対症療法が行われ、長期介護が必要となる症例がほとんどである。 | |
7. 研究班 | |
インプリンティング関連疾患調査研究班 |