循環器系疾患分野|進行性心臓伝導障害(平成22年度)
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1. 概要 | |
進行性心臓伝導障害(英語略名PCCD)は、進行性の房室ブロック・脚ブロックという心電図所見を特徴とし、心臓刺激伝導系の線維変性によって突然死をきたす稀な致死性不整脈である。進行性家族性心臓ブロックあるいはレネグレ・レブ病とも呼ばれる。 | |
2. 疫学 | |
進行性心臓伝導障害は極めてまれな疾患であり、正確な有病率は把握でき ていない。一般人口における心臓伝導障害の発生率の疫学調査を最近、新潟県成人病予防協会の基本健診データを基に行った。平成3年度に心電図を含めた健診 を受診し、平成8年~16年に一回以上心電図を記録した132,111人(平均年齢58±11歳、男性39,541人)を対象とした。平成3年度に伝導障 害を有している者は除外した。その結果、平均10.45±2.8年の経過観察において、2,611人(2.0%)が心電図PQ延長、8517人 (6.5%)が右脚ブロック、850人(0.6%)が左脚ブロック、88人(0.07%)が完全房室ブロックを発症した。 | |
3. 原因 | |
進行性心臓伝導障害の臨床像は、進行性のものから若年発症の重症型まで 多様であり、単一の病因では説明できない。これまで、進行性心臓伝導障害の一部の症例に心筋ナトリウムチャネル遺伝子や非特異的カチオンチャネルの遺伝子 変異が報告されているが、多くの症例の分子病態は不明である。 | |
4. 症状 | |
軽症の場合は無症状だが、伝導障害の進行とともに、めまい・失神などの症状が出現することがある。さらに進行すると不整脈が出現し、場合によって突然死する。 | |
5. 合併症 | |
特異的なものはない。なお、心筋症や虚血性心疾患などの基礎心疾患の存在は、進行性心臓伝導障害の除外診断項目となる。 | |
6. 治療法 | |
基本的に体内式ペースメーカー植え込み術である。場合によっては、植え込み型除細動器の適応も考慮する。 | |
7. 研究班 | |
進行性心臓伝導障害研究班 |