神経系疾患分野|瀬川病(平成22年度)

せがわびょう
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1. 概要

第14染色体に存在するGTPシクロヒドロラーゼⅠの遺伝的変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患。筋緊張異常によるジストニアを主徴とする。小児期発症者には女性患者が多いが、成人発症例もある。

2. 疫学

国内に百名以上の患者がいると考えられる。

3. 原因

1994年に本疾患の原因遺伝子が、GTPシクロヒドロラーゼⅠ遺伝子 であることが解明された。GTPシクロヒドロラーゼⅠは、ドーパミンの産生に必須なテトラヒドロビオプテリンの生合成酵素であり、患者では一対の本酵素遺 伝子の片方に変異を有するために十分量のテトラヒドロビオプテリンを生合成することができず、結果として脳内でのドーパミン量が不足するためにジストニア 症状を発症する。

4. 症状

姿勢ジストニア、動作ジストニアを呈する。小児期発症の場合、成人期まで徐々に筋強剛が進展するが、30歳以降は定常状態となる。成人発症例では、パーキンソン病様症状などで発症する例も報告されている。

5. 合併症

知能発達に異常は認められず、脳の器質的病変も伴わない。一部の患者家系においてうつ病発症者が報告されているが、例数としては多くない。

6. 治療法

L-ドーパの投与が著効する。パーキンソン病患者にみられるようなL-ドーパ長期服用による副作用も発現しない。

7. 研究班

アイカルディ-ゴーティエ症候群等のビオプテリン代謝異常を伴う疾患の診断方法確立および治療法開発のための横断的研究班