免疫系疾患|全身性炎症肉芽腫性疾患(ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシス)(平成22年度)
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1. 概要 | |
優性遺伝形式を示すブラウ症候群と弧発例である若年発症サルコイドーシスは ともに、NOD2遺伝子の変異によって、皮膚、関節、眼に肉芽腫を来たす疾患である。自然免疫に関わる分子の遺伝子異常を背景として臨床症状を発症すると して注目を集める「自己炎症性疾患」の1つに分類される。疾患概念が充分に浸透しているとは言えず、適切な診断を受ける機会がなく治療介入が後れ、病勢を 進行させている症例が多い。 | |
2. 疫学 | |
家系例を含めて、50名程度と推定される。 | |
3. 原因 | |
ブラウ症候群では、2001年に細胞内で微生物特異的な配列を認識する NOD2に、この分子を恒常的に活性化させる遺伝子変異が入っていることが明らかにされた。その後、我々によってブラウ症候群とほぼ同様の臨床症状を呈す る弧発例の若年発症サルコイドーシスにおいても、NOD2の恒常活性型変異が確認された。しかし、NOD2の遺伝子異常によってNF-κBの自発的な転写 亢進が誘導されるものの、なぜ肉芽腫に結びつくのかは依然として不明である。 | |
4. 症状 | |
4歳以前に発症し、皮疹(紅潮を伴った充実性丘疹)、関節症状(腱鞘炎)、眼症状(病変は全眼球性におよぶ)を3主徴として、組織学的にはいずれも非乾酪性巨細胞性肉芽腫を特徴とする。成人のサルコイドーシスに特徴的とされる肺門リンパ節腫脹は認めない。 | |
5. 合併症 | |
関節症状は、進行に伴い脱臼や関節拘縮をきたす。眼症状の進行に伴い、失明をきたす。これらの結果、患者のQOLは著しく障害される。 | |
6. 治療法 | |
進行例にはステロイド内服が主に行われている。対症療法にとどまるものの、 ステロイドの内服は眼症状の進行抑制にはある程度奏功する。NF-κB阻害作用を期待したサリドマイドの使用や、TNF-α阻害剤の使用が症例報告レベル では施行されている。NOD2に会合するRIP2の阻害剤の開発も進められているが、本症に対する効果は試されていない。 | |
7. 研究班 | |
NOD2変異を基盤とするブラウ症候群/若年発症サルコイドーシスに対する診療基盤の開発 研究班 |