肝臓疾患分野|多発肝のう胞症(平成22年度)

たはつかんのうほうしょう
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1. 概要

肝臓内に多数ののう胞を形成する疾患で女性に多い。肝のう胞そのものは良性疾患であるが、のう胞が増加して巨大になることにより他の臓器が圧迫されて呼吸困難や運動制限などが生じる。また、感染や穿孔などの危険性もあり、肝機能に影響を及ぼすこともある。

2. 疫学

詳細は不明であり、調査課題である。

3. 原因

発症原因は不明であるが、女性患者が多いことより女性ホルモンとの因果関係が想定されている。家系内の発生も報告されており、その中には第19番染色体上に異常を認める症例もある。

4. 症状

採血では肝機能異常を認めないが、のう胞が巨大化して周辺臓器への圧迫症状が生じる。そのため呼吸困難、運動制限、子宮脱、下腿浮腫、ヘルニアなどの症状で長期にわたって生活に支障をきたす。

5. 合併症

約半数の症例が多発性のう胞腎を合併する。のう胞感染により発熱、穿孔により出血することがある。さらに、頻度は低いが腹水、閉塞性黄疸、肝静脈閉塞が起こることもある。また、下大静脈が圧迫されることにより下腿浮腫が起こることもある。

6. 治療法

穿刺吸引、肝部分切除、肝移植およびTAEが行われているがその有効性は明らかでない。

7. 研究班

多発肝のう胞症に対する治療ガイドライン作成と試料バンクの構築研究班