代謝疾患分野|低フォスファターゼ症(平成22年度)

ていふぉすふぁたーぜしょう
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1. 概要

低フォスファターゼ症は骨系統疾患の一つで、組織非特異的アルカリフォ スファターゼ(ALP)の欠損が原因である。発症時期および症状の広がりに基づいて、胎内で発病する周産期型 、生後半年以内に発病する乳児型、小児期に発病し乳歯の早期脱落を伴う小児型、成人期に発病する成人型、症状が歯に限局する歯限局型の5つの病型に分類さ れる。四肢短縮、内反膝、骨折、骨変形、低身長、痙攣、乳歯早期脱落などの症状を呈する。骨X線像では、くる病類似の所見を呈するが、血中ALP活性は低 値である。

2. 疫学

最重症型は10万出生に1人程度と言われている。日本での本症の患者数についてのデータはないが、症例報告などから数百人程度と考えている。

3. 原因

組織非特異的アルカリフォスファターゼの欠損。

4. 症状

骨化不全、呼吸不全、体重増加不良、高カルシウム血症、けいれん、乳歯早期脱落。

5. 合併症

呼吸障害、体重増加不良、骨折。

6. 治療法


対症療法、根本的治療なし、骨髄移植が試みられた例あり。
酵素補充療法の治験が北米において開始された。
対症療法として人工呼吸、低カルシウムミルク、抗痙攣剤(ビタミン6)。
長期にわたる疾患の状況:不明。上述の通り最重症型では致死的であるが、乳児型でも50%程度の致死率とされる。長期経過報告無し。成人では易骨折性を示 す場合があるので、骨粗鬆症の患者の中に発見されずに存在している可能性あり。歯についても永久歯の症状ははっきりしていない。

7. 研究班

低フォスファターゼ症の個別最適治療に向けた基礎的・臨床的検討班