その他分野|難治性間質性膀胱炎(平成22年度)

なんちせいかんしつせいぼうこうえん
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1. 概要

頻尿・知覚過敏・尿意切迫感・膀胱痛などの症状を呈する原因不明の難治性疾患。現在、有効な治療法は確立しておらず、多くの患者がこれらの症状で日常生活が著しく障害されたままとなっている。障害の程度は慢性血液透析患者と比べても明らかに低い。

2. 疫学

人口の約0.5%(推定数十万人)が、間質性膀胱炎に特有の症状を有する。
ただし、この内で診断基準を満たす患者の割合は不明である。

3. 原因

原因を探る様々な科学的アプローチがなされているが、いまだ原因を特定 するに至っていない。可能性のある原因としては、1)肥満細胞の活性化、2)尿路上皮バリア機構(グリコサミノグリカン層)の破綻、3)尿路上皮の機能障 害・増殖障害、4)自己免疫反応、5)細菌感染、6)神経原性炎症、7)毒性物質、8)低酸素状態などが挙げられる。これらのうちのいくつかの原因が関与 し、それらが複雑に絡み合って神経・内分泌・免疫系全体の異常をきたし、膀胱に炎症を維持・増強しているものと考えられる。

4. 症状

主な症状としては、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿意亢進、膀胱不快 感、膀胱痛などがある。この中でもっとも多いのは頻尿で、排尿間隔が昼夜を問わず30分未満となることがある。特徴的なのは膀胱痛・不快感であり、えぐる 様な強烈な痛みが生じることもある。そのほか、残尿感、排尿困難、排尿時痛などの排尿随伴症状、下腹部・骨盤部・会陰部・尿道の痛みや性交痛、腰痛などが ある。

5. 合併症

シェーグレン症候群、線維筋痛症、過敏性腸症候群などが合併する疾患として知られている。膀胱痛などの症状により慢性的に日常生活が障害され、生活の不安や困難から、患者の多くが中等度の鬱症状を伴う。

6. 治療法

治療としては、膀胱水圧拡張術を中心として、抗ヒスタミン薬、三環系抗 うつ薬などの内服治療、ヘパリンなどの膀胱内注入療法などを併用して行うことが多い。しかし、いずれも対症療法的な意味合いが強い。症状が管理できない場 合は、鎮痛目的にモルヒネ製剤を用いることもある。最終的に膀胱摘出を行わざるを得ない症例もある。

7. 研究班

間質性膀胱炎に対するA型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法 研究班