奇形症候群分野|オピッツ三角頭蓋症候群(平成22年度)

おぴっつさんかくずがいしょうこうぐん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

前頭部(前頭縫合)の骨形成異常により、頭蓋変形(三角頭蓋)を来す三 角頭蓋症候群の一つ。オピッツ三角頭蓋症候群は、三角頭蓋に加えて瞼裂斜上などの特徴的顔貌、歯肉異常、脳梁欠損、項部皮膚弛緩、四肢の異常などを特徴と する。三角頭蓋そのものの診断は、困難ではないが、症候性であるか否か、オピッツ三角頭蓋症候群であるかの診断は、経験を積んだものでないと難しい時があ る。単独の三角頭蓋の中には、発達予後が良好なものもあるが、オピッツ三角頭蓋症候群は、発達遅滞等の症状を伴うため、患児の発達予後、療育の観点を含め て診断は重要となる。また、より症状の重い、ボーリング・オピッツ症候群との鑑別が問題となる時があり、両疾患の異同は議論の余地が残されている。

2. 疫学

現在までに約70例の報告があるが、ファミリーネットワーク等のデータを含め、文献報告されていない患児も含めると、約140人が医療機関にて診断されている。

3. 原因

原因は不明であったが、オピッツ三角頭蓋症候群に均衡型染色体転座 (t(3;18))を伴った患児の染色体切断点解析により、原因の一つはCD96であることが判明した。しかしながら、遺伝的異質性が高いと推定されてお り、実際に、国内の患児の半数以下にしかCD96遺伝子変異は確認されておらず、海外においても変異の見つかる頻度は非常に低い。従って、まだ他の原因が 存在する。

4. 症状

三角頭蓋に加え、瞼裂斜上などの特徴的顔貌、歯肉異常、脳梁欠損、項部皮膚弛緩、四肢の異常などを特徴とする。内臓奇形(心奇形、腎奇形)を伴う時もある。軽度~重度の発達遅滞を伴う。

5. 合併症

髄芽腫の合併の報告がある。

6. 治療法

三角頭蓋に対して、外科的手術が行われる時があるが、発達予後に対する効果については不明。 発達遅滞に対しては、療育が中心となる。

7. 研究班

オピッツ三角頭蓋症候群の症状把握と発達予後予測に重要な分子メカニズムの解明班