血液・凝固系疾患|サラセミア(平成22年度)

さらせみあ
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

サラセミアはこれまで日本には稀な疾患とされてきたが、最近の調査研究で決 して少なくない疾患であることがわかってきた(服部、山口大)。サラセミアの中でもホモ接合体は重症型であり、一生輸血を余儀なくされる。胎児のうちに重 症型が診断されれば、子宮内胎児死亡を防ぐための胎児輸血や研究段階であるが胎児遺伝子治療への道が開ける。

2. 疫学

サラセミアは地中海地方に頻発したため地中海貧血とも呼ばれる。これまで日本人には少ないとされていたが、九州大などの地域限定の新生児臍帯血スクリーニング調査報告ではサラセミアの発症頻度は0.1%ほどであり、九州や西日本に多いとされている。

3. 原因

原因はグロビン遺伝子をコードする染色体の遺伝子欠失、RNAの分離困難などであり、常染色体優性遺伝形式をもつ。

4. 症状


異常が生じたアミノ酸配列により重症度は様々である。
【症状】
貧血、黄疸、脾腫、サラセミア様顔貌(頭部、顔面の骨の肥厚化)、肝機能障害など
【検査所見】
小球性貧血、末梢血所見、血清鉄、ビリルビン値、フェリチン値など

5. 合併症

貧血に伴い皮膚潰瘍、胆石、脾腫など。

6. 治療法

βサラセミア・メジャーの場合は輸血、免疫抑制剤、脾摘、骨髄移植などがある。正常な遺伝子を導入する遺伝子治療は現在研究中である。

7. 研究班

Congenital dyserythropoietic anemia (CDA)およびサラセミア貧血の効果的診断法確立に関する研究班