ギャロウェイ-モワト症候群（Galloway-Mowat syndrome、OMIM 251300）は、難治性ネフローゼ・小頭症、顔面・四肢奇形を主徴とする劣性遺伝疾患である。先天的な腎糸球体と脳の発育遅滞が原因と推測される。原因 遺伝子は、未だ解明されていない。近年のゲノム研究基盤の整備に連動して、欧州では精力的に疾患遺伝子の探索が推進されている。

重症例で10-20人、軽症例はもっと多い（～50例）と推測される。

腎と中枢神経に共通する発育因子の異常により、腎糸球体・脳異形成を生 じると推測される。家族内発症や、血縁家系での発症があり、劣性遺伝が疑われる。原因となる染色体異常や遺伝子変異は、見つかっていない。本研究班はこれ までに一家系において、疾患遺伝子座位を確定しており、原因変異を探査中である。

発育遅滞が腎糸球体（糸球体硬化症）と脳（小頭症）の2臓器に生じるこ とが特徴である。中枢神経症状として、精神運動発育遅延、てんかんを認める。腎障害の重症度には幅があり、早期発症・重症例では大量の蛋白尿（ネフローゼ 症候群）を来たし、腎不全に進展する。一方遅発性・軽症例では、蛋白尿は軽度で、てんかんや精神運動発達遅滞を主症状とし通院していることも多い。

さまざまな外表奇形を伴う。顔面形成異常（前額狭小化、大きく柔らかい耳、耳介低位、小下顎、高口蓋、眼間解離）や四肢奇形（くも指、屈指）を伴う。しかし障害部位や程度は、症例により様々である。一部に、食道裂孔ヘルニア合併例がある。

対症療法を主体とする。ネフローゼ症候群に対しては、免疫抑制療法を試みるが、治療に抵抗性で腎不全に進展することも多い。腎不全に対しては、腹膜透析や腎移植が行われる。

ギャロウェイ-モワト症候群(腎糸球体・脳異形成)診断基準作成のための実態調査研究班