耳鼻科疾患分野|GJB2変異による劣性遺伝難聴(平成23年度)

GJB2へんいによるれっせいいでんなんちょう
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

難聴は生活の質の著しい低下を招くとともに、言語発達や教育にも大きな支障をきたす。内耳は生検できず、遺伝子診断が感音難聴のほぼ唯一の確定診断法である。聴覚に関与する遺伝子は多数存在するが、GJB2遺伝子変異による劣性遺伝難聴の頻度が高いとされている。現在は信州大が同定した13種のGJB2変異がインベーダー法により先進医療として検査されているが、世界的には100種以上のGJB2遺伝子変異による難聴が報告されており、全国では他の種類の変異が相当数存在する可能性がある。またGJB2遺伝子変異による難聴は劣性遺伝であり、健常者での保因者率は白人等では約3%と報告されているが、日本人での報告はない。

2. 疫学

患者数 日本全国で約4万人。

3. 原因

GJB2遺伝子はギャップ結合蛋白(コネキシン26)をコードする遺伝子であり、内耳のカリウムイオンの維持に重要な働きを演じていると考えられている。難聴を起こすGJB2遺伝子変異は日本人(信州大)で13種、世界では100種以上報告されており、変異の種類と難聴の程度には相関がある。

4. 症状

両側性の感音難聴を呈する。変異の種類によって難聴の程度や進行速度にバリエーションがあるが、回復することはない。

5. 合併症

難聴以外の症状の報告はない。
 

6. 治療法

現時点では疾患そのものを治療する有効な治療法はない。難聴の程度に応じて、補聴器や人工内耳によって聴力を補う介入が行われている。

7. 研究班

GJB2変異による劣性遺伝難聴の全国的実態把握班