耳鼻科疾患分野|好酸球性副鼻腔炎(平成23年度)

こうさんきゅうせいふくびくうえん
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1. 概要

成人発症で嗅覚障害を主訴とし、気管支喘息を伴い、鼻茸のための鼻閉と粘調な鼻汁を示す難治性副鼻腔炎であり、鼻粘膜に多数の好酸球を認める特徴を有する。抗菌薬は無効であり、ステロイドの内服にのみ反応する。耳漏を伴うこともあり、その耳漏にも著しい好酸球浸潤が認められ、難治性であり聴力障害は進行し、聾に至る。嗅覚障害も進行しにおいがわからなくなる。

2. 疫学

約35,000~50,000人

3. 原因

原因は不明である。一般的な副鼻腔炎は、ウイルス感染とそれに引き続く細菌感染で発症するが、本疾患は異なる。アスピリン喘息の発症と関連がある可能性が高く、ウイルス説もある。一方で成人型気管支喘息の発症と関連がある可能性がある。

4. 症状

ほとんどが鼻茸を有するので鼻閉を訴える。また粘調な鼻汁を認め、嗅覚障害を主症状にすることが多い。鼻粘膜・血中において好酸球増加が認められ、ステロイド内服にしか反応しない。一般的な副鼻腔炎では、上顎洞の病変が一般的であり、抗菌薬に反応し手術療法が効果的であるが、この疾患では、篩骨洞病変が主体であり両側性である。手術で鼻茸を摘出してもすぐに再発する。嗅覚障害は進行し、全くにおいがわからなくなることが多い。進行すると鼻の症状以外に、著しく好酸球が含まれた耳漏が出現する。この耳漏はステロイドの内服によってのみ止めることができる。好酸球性中耳炎という疾患であるが、徐々に難聴が進行し、最終的に聾になる。
 

5. 合併症

気管支喘息、アスピリン喘息の合併が多い。

6. 治療法

ステロイドの内服のみ有効な治療法である。

7. 研究班

好酸球性副鼻腔炎の診断基準作成と網羅的解析に関する研究班