神経系疾患|肥厚性硬膜炎(平成23年度)

ひこうせいこうまくえん
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1. 概要

脳脊髄硬膜の線維性肥厚を主徴とする難治性炎症性疾患である。硬膜の肥厚部位に応じて頭痛、うっ血乳頭、脳神経麻痺、小脳失調、対麻痺などの神経症状を呈する。

2. 疫学

罹病率、患者数、男女比など疫学上の詳細はいまだ不明である。

3. 原因

結核、真菌などの感染症のほか、サルコイドーシス、慢性関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病、ANCA関連血管炎、悪性腫瘍などが原因となるが、原因が不明なことも多い(特発性)。全身の結合組織に慢性炎症を来す多巣性線維性硬化症の一部として硬膜炎を来すことが報告されており、さらに線維性慢性炎症の病態にはIgG4を産生する形質細胞の関与が示唆されている。

4. 症状

肥厚性硬膜炎は頭蓋内硬膜、脊髄硬膜いずれにも生じるため、部位により症状は異なる。頭蓋内硬膜の炎症では頭痛、視神経障害などの脳神経障害、小脳障害などを来し、脊髄硬膜の肥厚の場合は神経根や脊髄の圧迫症状のため感覚障害、脱力などを来す。

5. 合併症

多巣性線維性硬化症は多臓器の線維性変化を来すことから、肥厚性硬膜炎の他に線維性の障害を伴う可能性がある。眼窩偽腫瘍、後腹膜線維症、硬化性胆管炎の合併が報告されている。

6. 治療法

原因疾患が明らかである場合は原疾患の治療を行う。特発性の場合はステロイドパルスを含むステロイド治療が有効である。しかし一部の症例ではステロイド抵抗性で、慢性的な悪化や再発を伴うことがある。

7. 研究班

肥厚性硬膜炎の診断基準作成とそれに基づいた臨床疫学調査の実施ならびに診療指針の確立に関する研究班