皮膚疾患分野|弾性線維性仮性黄色腫(平成23年度)

だんせいせんいせいかせいおうしょくしゅ
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1. 概要

弾性線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum: PXE)では進行性に弾性線維の石灰化と変性・断裂が発生し、弾性線維の豊富な組織に障害が生じる。そのため皮膚変色・変形、視力障害、虚血症状などを引き起こす。PXEは稀少疾患である上に患者が複数科に分散して診療を受けるため、一人の医師が多くの患者を診る機会に乏しい。

2. 疫学

4,000~5,000人に1人の頻度で発生する希な疾患である。

3. 原因

2000年にABCC6遺伝子異常が原因であると明らかにされ劣性遺伝形式をとることが判明した。しかしABCC6遺伝子異常が弾性線維変性を発生させる機構はいまだ全く不明のままである。本邦では遺伝子異常が証明された症例はきわめてまれである。

4. 症状

皮膚: 10~20代に黄白色扁平丘疹~白色網状斑が、関節屈曲側、頚部、口腔粘膜部に出現する。
眼: 視力障害は網膜の脆弱性のため、出血・血管新生を引き起こし、重度な場合が多い。
心臓・血管: 内弾性板の変性石灰化により、虚血症状が起こる。

5. 合併症

網膜色素線条、眼底出血
高血圧、脳梗塞、狭心症、臓器壊疽、間歇跛行などを引き起こす。

6. 治療法

標準的治療法はない。皮膚では美容的形成手術。眼科では、血管新生に種々の治療が試みられるも満足いく治療法はない。虚血症状では、症状に応じて血圧のコントロール、ステント留置、バイパス手術などが行われている。

7. 研究班

弾性線維性仮性黄色腫病態ならびに診断基準作成班