循環器系疾患分野|早期再分極症候群(early repolarization syndromeまたはJ波症候群)(平成23年度)
そうきさいぶんきょくしょうこうぐん
| |
1. 概要 | |
12誘導心電図で、Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導(下壁誘導)とⅠ,aVL,V4-V6誘導(側壁誘導)のうち、2誘導以上で1mm以上のJ波増高(notchまたはslur波形を伴う)とそれに続くST上昇を認める疾患 | |
2. 疫学 | |
日本人の有病率、発症率、短期予後、長期予後のいずれもが未解明。フィンランドの研究では、1mm以上のJ波の有病率は5.8%であるが、運動選手では30~40%に達し、下壁誘導で2mm以上のJ波がある群の年間心臓死率は1.5~2%と報告されている。また、過去に心室細動(VF)を起こし、植込み型除細動器(ICD)が埋め込まれている症例の短期予後も不良とされている。 | |
3. 原因 | |
J波の機序は不明で、心室細動の発症機序も不明である。Brugada症候群に類似した症例で原因遺伝子の報告があるが、遺伝的背景は未だ明確でない。 | |
4. 症状 | |
一部の例ではVF、多形性心室頻拍により突然死を生じる。VF既往例では、約30%の症例がBrugada症候群と類似した臨床症状(3回以上VFを繰り返す、イソプロテレノロール、キニジンが有効、プロプラノロールでJ波増高など)を示すため、Brugada症候群との関連が指摘されている。 | |
5. 合併症 | |
Brugada症候群またはQT短縮症候群との合併が報告されている。 | |
6. 治療法 | |
ICD植込み。一部の例では予防にキニジンが有効との報告もある。 | |
7. 研究班 | |
| |